私たちの物語 #33~勧誘~
「モモディさん、カッパーベル銅山の依頼、完了しました。」
「トトレイ君、おかえりなさい。話は聞いてるわ。今、アマジナ鉱山社の人が来てるから、あちらにも直接伝えてくるといいわ。」
「はい。それじゃあ、行ってきます。」
「おお、冒険者殿。カッパーベル銅山を解放してくれたのだろ!よくやってくれた、助かるぞ。パパシャン所長には、私から礼を言っておく。モモディ殿にも改めて礼を言っていたと伝えてくれ。」
「きゃ~~!」
「なんだ?」
「外からみたいだよ。」
「ったく、こちとら依頼達成でいい気分だってのに...行くぞ。ぶちのめしてやる!」
「アレックス...ほどほどにね?」
外では、貧しいみなりな女とガラの悪そうな男が、商品を盗んだなんだと言い争っていた。
「はぁ、女一人によってたかってとは、ちょいとお行儀が悪いんじゃねぇか?」
「なんだぁ?この女の仲間か?構わねぇ。お前ら、やっちまえ!」
「ふん、どうせぶっ飛ばす予定だったんだ。そっちから襲ってくるなら、正当防衛だぜ!」
「アレックス...これ、僕もやらされるんだよね?」
「当たり前だろうが!オレたちは2人で最強だぜ!」
「アレックスは、元気だね~。Dj、あんたはどうする?」
「弓で殺さない練習をするよ。」
「あんた、大概ぶっそうだね。」
「おらおらおらぁ~~~~~~!」
「早くしないと、的がなくなっちゃうね~?」
「ふぅ。もう終わり?」
「みたいです。」
「ふん。雑魚だったな。」
「アレックスが殺しちゃわないか、ひやひやしちゃったよ。」
「それぐらいの加減はできるに決まってんだろ!」
「あ、あの。ありがとうございます。助かりました。」
「ああ、いいんだよ。私はついて来ただけだから。お礼はあのちっこいのに、言ってよ。」
「それでも、助けてくれましたから。あの、皆さん、助けてくれて、ありがとうございました。」
突然の眩暈のような感覚...
また?
これは、この人の...そう、嘘じゃなかったのね。
「もし…?」
「ああ、大丈夫。気にしないで。」
「おい!手下はいなくなっちまったみたいだぜ?どうすんだい?お兄さんよ~。」
「アレックス、やめときなさい。で、そっちの。私、この人がちゃんと買ってるとこを見たのよね。だから、これ以上は面倒だし終わりにしてくれない?」
「なに?」
まわりからも、そうだと声があがりはじめた。
「取り巻きがいなくなった途端、元気になりやがってよ~。」
「まぁまぁ、アレックス。仕方ないさ。」
「ちっ!覚えとけよ!」
そう言って、男は走り去っていった。
「一件落着...だね!」
「ヤッホー!」
「やぁ、久しぶり、Dj。と言っても、初めましての人もいるけどね。」
「パパリモにイダ?」
「サンクレッドさん?」
「よっ!しばらくだな。トトレイ、アレックス。」
「こちらもしばらくぶりね。トゥーグロナ。」
「ヤ・シュトラじゃないか。賢人様たちがそろいとは、何事だい?」
「実は、これまでの君たちの行動を見させてもらってたんだ。使者としてのふるまい、危険を省みず挑む勇敢さ。」
「自己の利益を顧みないで自己の力を尽くす献身さ、困った人を助ける正義の心!」
「どれも冒険者として十分な資質だ。まぁ、アレックス以外は巻き込まれたという感じだが。そして、アレックス、それにDjと言ったか。君たちの持つ能力...『超える力』。」
「Djにもあるのか!?」
「アレックスにも?」
「あなたたちの持つその力。そして、今まで見てきた幻の正体に興味はない?」
「僕たちは君たちと同じ力を持つ人を知っている。そして、その人とある計画を進めているんだ。そこで、君たちの力を借りたくね。」
「あなたが力を貸してくれれば、私たちは、あなたが冒険者として活躍するのを援助することもできる。クイックサンドのモモディさんに話は通してあるわ。興味があったら、彼女に話を聞いて。それから、トゥーグロナにも。私たちは、『暁の血盟』の一員。ちょっとした正義の味方ってところかな。」
「それじゃ~ね~。」
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