私たちの物語 #43~手掛かりを求めて~
「イセムバードさん、おはようございます。」
「ああ、おはよう。」
「オルセン司祭の怪我の具合はどうでしたか?」
「オルセン様は少しと言っていたが、結構ひどくてな。だが、安心してくれ、宿でしっかり療養するように伝えたよ。」
「そうですか...」
「君たちが彼女のことを調べに行ったからこそ、ひどいとはいえ怪我ですんだんだ。そう気に病むんじゃない。それより、サンクレッドが君たちに話があるそうだ。ここから南東にあるアマルジャ軍陣屋で待っているそうだから、行ってくるといい。なにか、事件の手掛かりがつかめたのかもしれない。」
「わかりました。ありがとうございます。」
「サンクレッドさ~~ん。」
「来たか。オルセン司祭のことは聞いたか?ひどい怪我だったそうだ。あんなに美しい女性を疑っていたとは、まったくどうかしていたみたいだな...」
「はい。でも、何とか助けられてよかったです。」
「そうだな。それで、今回、君たちを呼んだ理由だが、ゴールドソーサー付近で怪しげなアマルジャ族を見つけたからだ。そいつは、アマルジャ軍陣屋へ入っていった。こちらは俺が見張るから、君たちで中を探ってきてくれないか。」
「で?どうするよ。」
「中にはアマルジャ族が、いっぱいだからね~。見つからずってのは、難しいね~。」
「う~~ん。でも、アマルジャ族がいなくなるってこともなさそうですよね。」
「だったら、さっさと見つかるとしようじゃないの。」
「何言ってんだDj?」
「なるほど~。陽動ってことだね。」
「そういうことだ。」
「でも、どうするんですか?」
「ここは、アレックス君に魔法を乱発してもらうのが一番イイだろうね~。」
「そうだな。アレックスが陽動で、トゥーグロナもサポートについて行ってくれ。」
「了解~」
「わざと見つかるように魔法を撃てばいいんだな。」
「あの、僕は。」
「トトレイは、私と一緒に戦陣屋の中を探って、なにか手掛かりを見つけるんだ。」
「わかりました。」
「それじゃ早速、撃っていいんだよな?」
「もちろんさ。トトレイ、隠れるよ。」
「派手にいくぜ~~~~!!!」
アレックスが魔法を乱発したおかげで、アマルジャ戦陣屋からアマルジャ族が出て行った。
「よし、いくぞ。」
「はい。」
「私は奥に行くから、トトレイはこの辺りを調べて。」
「わかりました。」
「はぁ、なんにもなしだな。これは、トトレイの方にかけるしかないかな~?...っと、やば。」
アレックスたちの陽動があったとはいえ、全員が出て行ったわけではなかった。
「ま、そりゃそうか......」
急いで物陰に隠れた......拍子に立てかけてあった武器に体が当たってしまったのか、倒れていく武器たちが目に入った。
当然、倒れた武器は音を立てて...
「っ!?何者だ!」
「本当にやっば~!」
「侵入者だ!」
「Ryokさん!ありました!見つけましたよ!」
「逃げるぞ!トトレイ~!」
「アマルジャ族が、いっぱいだ~~!!!」
「走れ~~!」
「はぁはぁ、逃げ切れましたね。大丈夫ですか、Ryokさん。」
「うん。大丈夫。」
「それじゃあ事件解決に役立ちそうなものを見つけられましたし、サンクレッドさんのところに戻りましょう。」
「収穫があって、良かったよ。本当に...」
「おお、戻ってきたか...って、ひどく疲れてるな。それにアレックスとトゥーグロナはどうした?」
「ははは、実はですね...」
「なるほど。それなら、2人はあとで合流できそうだな。それで、トトレイが見つけたっていう手掛かりは何なんだ?」
「はい。これです。」
「なんかのビラ?」
「このビラは...、「ナル神の富を分配します」だと?......なるほど、貧民に職をあてがう周回の様だ。だが、汚い字だし、ナルザル神に対する知識もおかしい。聖職者が書いたビラではなさそうだ。」
「貧民は、司祭には心を開いています。もし、誰かが司祭に成りすまして、これを配っているとしたら?」
「よし、オルセン司祭に話を聞いてみよう。教会の方で何かこれに関係することがあるかもしれない。」
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