私たちの物語 #41~棘なき花か?~
「イセムバードさん、今度は司祭様にお話を聞きに行ってきます。」
「そうか。...そうだ、教会へ行くなら埋葬依頼が来ている遺体を運んでくれないか。墓守のマルケズに聞けば、埋葬場所を教えてもらえるはずだ。」
「わかりました。」
「あなたが、マルケズさんでしょうか?」
「ああ、そうだが?」
「イセムバードさんから、埋葬依頼が来ている遺体を運ぶよう言われまして、運んできました。埋葬はどうすればいいでしょうか?」
「ああ、それなら、この先に空きの墓地がある。そこに運んだら、心を込めて土をかけるんだぞ。」
「埋葬してきました。」
「そうか。助かるよ。」
「それで、一つお聞きしたいんですが、最近、この辺りで行方不明者が多いことについて何か知りませんか?」
「貧民が消えるってやつか?あいにく、俺は何も知らん。だが、貧民と仲の良いオルセン司祭なら何か知ってるかもしれん。教会にいるから、話を聞くといい。」
「ありがとうございます。」
「ようやくまともなことが聞けそうだな。」
「あの。オルセン司祭でしょうか?」
「そうですが。どちら様でしょうか?」
「僕たち、この辺りの住人が行方不明になる事件について調べていまして、貧民の方たちと仲良くされてると聞いて、お話を聞きに来ました。僕たちが話しかけても、逃げられてしまって。」
「そうなのですか。確かに、貧民の方々とは仲良くしています。あの方たちも、神に仕える者には心を開いてくれているのです。ですが、特にお役に立てるようなことはわかりません。すみません。」
「そうですか。ご協力、ありがとうございます。それでは。」
「結局、何もわからなかったな。」
「そうだね。とりあえず、イセムバードさんに遺体を埋葬したことを伝えに行こう。」
「イセムバードさん、遺体の埋葬、終わりました。」
「ありがとう。それで、なにか役立つ情報は手に入ったかい?」
「それが、特には...」
「そうか。」
「よっ!みんな、頑張っているな。」
「サンクレッドさん。」
「初めまして、イセムバードさん。俺はサンクレッド。こいつらと一緒に事件を調査している者だ。」
「こっちは、貧民たちは神に仕える者に心を開いてるってくらいしか収穫がないんだが、そっちはなんかわかったのか?」
「再三、ウグイストに話を聞いたが、貧民たちが神に仕える者に心を開いているということは、間違いないようだ。人目につかず、貧民を誘拐することができるとしたら、今はオルセン司祭しかいないだろうな。」
「そんな!オルセン様は、とてもお優しい方だ、そんな馬鹿な!」
「美しい花には、棘がある。今後、彼女の行動には目を配る必要があるな。」
「あの人が本当にそんなことをするんでしょうか?」
「そうだね~。でも、彼女くらいしか今のところ見張れる人物はいないし、外れならそれでいいじゃないか。まずは、彼女を調べてみるとしようじゃないさ。」
「彼女についての情報は何かあるか?」
「オルセン様か...そういえば、彼女はよく一人でゴールドバザーへ行って、子供たちと何か話しているが、......まさか。」
「それじゃ、ゴールドバザーに行って、子供に話を聞くしかないようだね。」
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