私たちの物語 #37~閑話休題~
暁の血盟へと誘われて数日。
今は特にやることがないからということで、休息することになった。
「ごしゅじ~ん。お願いを聞きに来てあげたわよ?」
「やぁ、トトラ。それじゃ、これを取ってきてくれない。」
「ふむふむ。また、面倒なのばっかりね。でも、いいわ。取ってきてあげます。」
「よろしくね。」
私はというと、気晴らしに自分の装備を作ることにした。
「とりあえず、今ある素材で作業を進めるか...」
「帰ってきたわよ。」
「ありがとう、トトラ。......今日は、なんだかいつもより多いね。嬉しいけど。」
「ええ、今回はちょうどいい下僕を捕まえられたからね。」
「リテイナーって、どうやって素材を取ってきてるのよ。」
「ふふふ。それは秘密よ。」
「まぁ、いいけど。」
「今日は、何を作るのかしら?」
「新しい弓だよ。最近、いろいろとうまく作れるようになったし、これから忙しくもなりそうだからね。」
「ふ~ん。そうなの。」
「そっちから聞いたわりに、興味ないの?」
「当たり前でしょ。私は冒険者じゃないのよ?」
「じゃぁ、どうしたの?」
「あなたは、なんで冒険者になったの?」
「なんでって......まぁ、夢をかなえるためかな?」
「どんな夢?」
「...世界中を見て回る。」
「ん?それなら、普通に旅行に行けばいいじゃない。」
「私が自由気ままに旅行できるようなお金を持ってるとでも?」
「いいえ。まったく。むしろ、貧相よね。」
「はっきり言いすぎだけど、その通り。だからよ。依頼としてどこかに行けるし、依頼をこなせばお金も手に入る。それだけよ。」
「そう。」
「トトラは?なんでリテイナーなんてやってるの?」
「私?私は...お姫様になりたかったの。お姫様になるには、王家の産まれか、そこに近しい家系じゃないといけないでしょ?でも、私は普通の家に産まれた。しかも、どちらかと言えば、貧乏な家にね。そうすると、お姫様になるには、王子様と結婚しかないわけだけど、今のウルダハは幼い女王しかいなの。」
「それが、なんでリテイナーに?」
「お姫様のそばには、いつもお付きの者がいるじゃない?その人たちになるのも悪くないなって思えることがあったってだけよ。」
「なにそれ?」
「それは、まだ秘密よ。それじゃ、私はここで失礼するわ。またね、ごしゅじん。」
「気になるじゃん......あっ!」
失敗してしまった。
「はぁ、また最初からか...」
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