私たちの物語 #19~サスタシャ浸食洞の正体~
「よし、それじゃあ進むぞ。」
「それで~、ここが件の......なんだっけ?まぁ、いいや。件の海賊のアジトなのかね~?」
「『海蛇の舌』だ。」
「アレックスって、そういうところちゃんと覚えてるよね。ぶっ飛ばしてやるぜ~!とか言う割にはさ。」
「おい。オレが馬鹿だって言いたいのか、トトレイ?」
「えっ!?いや、そういうわけじゃ......。あはは。」
「『海蛇の舌』と決まったわけじゃないが、イエロージャケットの言っていたこととこの辺りの状況を考えると、確率は高いだろう。問題は相手の数だが、この洞窟はそこまで大きくもなかったはずだ。全体としては多くても、内部に散らばってくれているなら何とかできるかもしれない。」
「皆さん、静かに。何かいるみたいです。」
「魔物か?」
「魔物が数匹。......待って、人もいる。」
「ということは、あいつらが不審者ってことかい?隠し扉を用意しているのに見張りかね~?用心深いことで。」
「お前、デカいくせに前に出てくんなよな。見つかったらどうすんだよ!」
「ねぇ、Dj。アレックス君、私に厳しくない?」
「アレックスは誰にでもこうなんじゃないか?まだ会って半日くらいしか経ってないが、そんな気がする。」
「すごい。よくアレックスのことわかってますね。」
「トトレイ~?というか、お前ら緊張感なさすぎだろ。もっと真剣になれよ。」
「なんだかんだで、アレックス君が一番真面目ね。」
「よし、あいつらが奥に行ったぞ。こっちも進もう。」
不審者たちに見つからないようについていくと、部屋の様になっている場所に着いた。
「何か話してますね。あの帽子をかぶっている人、明らかに上の人って感じですね。」
「ああ。すこし様子をみよう。」
部屋の中にも人がいて、何かを話していた。
見張りの報告をしている様だったが、その中でかすかに「船長」と聞こえた気がした。
「今、あの帽子の奴のことを「船長」って言ったよな?」
「はい、そう聞こえました。」
「オレもだ。」
「これは海賊のアジトで決まりだね~。どうする?」
「船長がいるなら好都合だ。ここで叩いて、終わりにする。トトレイと私で注意を引く。アレックス、一発ぶち込んでくれ。」
「わかりました。」
「命令されんのは癪だが、やってやるぜ。」
「アレックス君、やっぱり素直じゃいわよね~。」
「トゥーグロナはここから支援だ。いくぞ。」
「なんだお前ら!」
「おとなしくしてもらいますよ!」
トトレイが斬りかかる。
私もすかさず周りの海賊どもに向かって矢を放つ。
1人、2人と倒していったところで、アレックスの声が聞こえた。
「お前らどけ~!」
アレックスの魔法は、しっかりと海賊どもをとらえたが、肝心の船長はまだ元気にしていた。
「ちっ、ここは任せた!俺はちょと用事を思い出したんでな!」
そういうと、海賊どもを残して、奥へと逃げてしまった。
「くそっ!とりあえず、こいつらを片付けるぞ!」
「捕まえ損ねちゃいましたね。」
「船長が逃げたってことは、あちらさんにこっちのことばれちゃったね~。」
「こっちに向かってくる声は聞こえないし、守りを固めているか逃げたんでしょうか?」
「どちらにせよ、先へ進むぞ。逃げられたとしてもアジトを潰せるし、守りを固めているとしても狭い洞窟の中ならアレックスの魔法が有効だろうしな。」
「おう、蹴散らしてやるぜ。」
「それじゃ、早速追いかけないとね~。」
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