私たちの物語 #17~調査開始~
「それじゃぁ、僕から行きますね。」
「しかし、よく見ると魔物がいるわ、隠れられそうな場所もないわでここら辺は特別調査する必要もなさそうね~。」
「そうか。なら、適当に魔物を掃いながら進もうか。トトレイ、よろしく頼むよ。」
「はい。わかりました。」
「ねぇ、これなんだと思う?」
特に隠れられそうな場所はなかったが念のため、隅々まで調べているときだった。行き止まりになっている場所に人が持ち込んだと思しきものが置かれているのを見つけた。
「なんだか、メモみたいなのが置いてあるんだけど。これって、不審者がおいてったのかね~。」
「なんて書いてあるんだ?」
「『船長は晴天の青い海原がお好き』だってさ。」
「なんだそりゃ?ただのいたずら書きじゃないのか?」
「ここを住処にしてる不審者達の暗号か何かかもしれない。一応、覚えておいてメモはもとに戻しておこう。」
「そうだね~。気にはしておこう。何もなければ、それでよしさね。それじゃ、進もうか。」
「また開けたところに出ましたね。」
「う~ん。でも、魔物もさっきより多いうえに、道が細いね。これはここらの魔物は全部倒してかないとかね~。トトレイ君、がんばってね!ピンチの時は私とリリィベルが助けるから。」
「はい。がんばります!」
「あんま、張り切りすぎんなよ~。」
「それは、頑張れってことでしょ?わかってるよ。アレックス。」
「ふぅ、あらかた片付いたかな。」
「それはいいけどさ~。どうやら行き止まりみたいだけど?」
「それなんだよな。人間が隠れられるような場所はここまでなかったはずだし、まだ先があると思うんだがな~。」
「なぁ、このデカいやつは何なんだ?珊瑚はいままでどこにでもあったが、これだけデカすぎないか?」
「そうだね~。これ見よがしと言えばそうだ。似たような形で赤、青、緑と別れてるのも言われてみれば、怪しいね~。」
「青って言えば、途中で拾ったメモ。あれにも青とか書いてませんでしたか?」
「メモか。え~っと、写しをとったんだけど、どこにしまったけね~。」
「おい。これ、普通の珊瑚じゃないみたいだぞ?なにか仕掛けがあるぞ。」
トゥーグロナが持物を探している間に、アレックスが近くの赤い珊瑚を観察していたようだ。
「ほんとかい?それなら、あのメモは仕掛けのヒントになってるみたいだね。『船長は晴天の青い海原がお好き』。たぶん、青い珊瑚の方にも同じようなものがあるんじゃないかい?」
トゥーグロナの助言に従い、アレックスが青い珊瑚を調べる。
「あったぞ。いいか、動かすぞ。」
アレックスが青い珊瑚の仕掛けを動かすと、行き止まりだと思っていた壁にこれまた仕掛けが出てきた。
「どうやら、あのメモに書かれている色と同じ色の珊瑚の仕掛けを動かすことで、壁の仕掛けを動かすことができるようになるみたいだな。」
「そうみたいだね~。一応、書き写しといてよかったよ。」
「アレックス。壁の方の仕掛けも動かしてみてよ~。」
「おう。わかった~。」
これで、先に進めるのか。しかし、ここまで手の込んだものがあるってことは、不審者とやらには警戒していかないとだな。
ここまでは、不審者と思しき相手にも、住みついてるらしいクァールにも出会うことなく来れたから、この調子で奥まで行って、不審者の情報が分かればいいんだけど......
「アレックス!逃げろ~~~!」
思った矢先にこれとは、最悪だ。
0コメント