私たちの物語 #28~砂都で待つ仕事~
「それで?その依頼はどんな内容なの?」
「依頼主はウルダハの冒険者ギルドだからね。詳しい話は、クイックサンドのモモディさんから聞いてもらえるかな。危険な仕事かもしれないが、君たちならやってくれると信じているよ。」
「わかったよ。それじゃ、ここから飛空艇でウルダハに向かうとしますか。」
「こんにちは。モモディさん。」
「あら、トトレイ君じゃない。それにアレックス君も。最近、見なかったけど元気そうね。」
「はい。それで、カーライエンカフェのミューヌさんから、ウルダハで依頼があるって聞いてきたんですけど。」
「あぁ、あの依頼をトトレイ君たちが受けてくれるのね。実は、あなたたち、今注目の冒険者ってギルドの方でも名前が挙がってるのよ。あなたたちが受けてくれるなら心強いわ。さぁ、そこに座って。詳しい話をするわね。」
「やれやれ、今日も暑いな。いつものを1杯くれんか。」
「あら、パパシャン所長。依頼件されてた件、受けてくれる冒険者が来てくれたわよ。」
「おぉ、そうか。それで、その冒険者は?」
「どうも、お久しぶりです。パパシャンさん。」
「トトレイ君じゃないか。君が受けてくれるのか。」
「はい。僕たち、ですけどね。」
「ほぅ、お仲間がおりましたか。それでは、自己紹介をしておきましょう。私は、元銀冑団のパパシャンと申します。依頼を受けてくださり、感謝しますぞ。」
「では、所長。依頼について説明してもらえる。」
「うむ。この依頼はアマジナ鉱山社の知人から頼まれたものなんですが、ちと物騒な依頼でしてな。ウルダハ近郊の「カッパーベル銅山」で再開発中の最下層から巨人族が現れ、暴れておるらしいのです。巨人族とは、その昔、ソーン朝ウルダハ時代に封印されたはずのヘカトンケイレス族。どうやら、最下層にあった封印の岩盤が打ち抜かれたようでしてな。このままでは開発ができんと、助けを求められたのですよ。」
「ソーン朝ウルダハ時代といえば、今から300年も昔の話よね?」
「さよう。その昔、ウルダハの人々は呪術を込めた金属兜を使い、ヘカトンケイレス族を操り、怪力の鉱夫として酷使しておったという。しかし、術が不完全だったのか反乱が勃発。最下層の岩盤を崩落させ、閉じ込めることで、反乱を鎮圧したようでしてな。」
「それで、再開発中に、その岩盤をぶち抜いたと...。彼らにしてみれば、300年越しの反乱ってことなのね。過去からの反乱......なんだか浪漫あふれる話だわ!」
「冒険者殿!どうかヘカトンケイレス族の反乱を鎮圧していただきたい!」
「わかりました。その依頼、お受けします。」
「ありがたい。心より、お礼申し上げますぞ!」
「カッパーベル銅山は、西ザナラーンにあるわ。気を付けてね。」
「確かに浪漫はあるが、何とも言えない依頼だな。」
「何だかアレックスらしくない発言だ。...頭でも打ったの?」
「お前、オレをどんな奴だと思ってるんだ?」
「まぁまぁ、確かに過去の人間の尻拭いというのは気が乗らないし、ヘカトンケイル族には悪いけど、こちらに害が出てしまうのも問題だからね~。それに怪力なうえに巨人ときたもんだ。かなり危険な依頼になるだろうから、気を引き締めていくよ~。」
「そうですね。しっかりと相手を見極めないとですね。」
「そう。特にトトレイ君はね。もちろん、私が最大限援護するけどね。」
「私たちもトトレイに負担をかけないように、なるべく早く敵を片付けないとな。」
「俺の魔法で、全員ぶっ飛ばしてやるぜ!」
「それ、僕のことは入ってないよね?」
「さぁ?どうだかな。」
0コメント