私たちの物語 #1~その目に映るは~
「いいでしょう。…あなたを我が弓術士ギルドの一員として認めましょう。改めてよろしくね。」
ギルドマスター、ルシアヌからの許しが出た。
何とか弓術士ギルドの一員となることができた。まさか、最初から魔物を狩れと言われるとは思わなかったが。
「練習が功を奏したわね。」
放つ一矢により戦況を動かす戦場の支配者たる弓術士。弓術士ギルドはそのために必要な「目」を鍛える場。何とも皮肉なものだ...
ギルドマスターともなれば、その腕も目も確かなものなのだろう。彼女には私を見抜かれているのだろうか。すぐさま何かを教えるわけではないのは、しっかりと成長してもらうためだと言っていたが、それもあるのかもしれない。
「...深く考えすぎか。」
仮にそうであれ、ギルドにおいてくれるんだ。良しとしよう。
まずは貰った討伐手帳とやらに書かれている魔物の観察に行くとしよう。
目を鍛える。私に何より大切なことだ。
討伐手帳。なかなかの課題だ。
矢を当てるだけでも大変そうな相手やどこを射抜けば良いのかわからない相手もいた。
「これが私の鍛えるべき目か。」
「...私にできるかしら…」
あなたの見ていた景色を。あなたの見抜いてきた戦場を。あなたの見つめていた背中を...仲間を見るときが来るのだろか。
今まで練習で使っていた弓と、ギルドでもらった弓。そして、砕けた弓を見やる。
後悔と決意の証たちを...
私はそっと目を閉じ、想い馳せる。
「私の背中はどう見えていたの...」
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